マッチプレビュー
いよいよトップリーグ2020が開幕する。
トップリーグとしても、クボタスピアーズとしても、例年になく注目を集める今シーズンは、その注目度の高さに比例するようにラグビー自体もよりハイレベルな争いになることが予想される。
日本代表を軸とした日本ラグビーの強化、ワールドカップを終えた各国代表選手たちのトップリーグチームへの加入、世界を代表する名将たちのトップリーグでの指揮など、理由はたくさんあるが、いずれにしてもここ数年でトップリーグのレベルは向上し、もはや世界を代表するラグビーのリーグになろうとしている。
そのトップリーグで今季トップ4以上を狙おうとしているのがクボタスピアーズだ。
昨シーズンとなるトップリーグ2018-19シーズンは7位、トップリーグカップ2019では準優勝と2016年からのフラン・ルディケヘッドコーチ、立川理道主将体制となり着実に実力をつけている。
過去の歴史を振り返ると、クボタスピアーズはトップリーグ発足の2003年よりリーグに参戦し、6~8位の安定した強さを誇ったが、2010年シーズンにトップリーグより降格。2シーズン下部リーグで戦い、2013年よりトップリーグに復帰した。復帰直後はリーグ9位という成績を収めるが、2014~2017年は13位~11位、と上位進出することはできなかった。「激しく、ディフィンスも堅く、いいラグビーはするが結果が出せないチーム」というイメージを持つ関係者も多かった。
(参考:「クボタスピアーズのヒストリー」http://kubota-spears.com/about/history/)
フランヘッドコーチ体制となり、一からチームの文化を築き、「誇りの広告塔となる」というチームビジョンのもと、ハードな練習から戦力の底上げと、徹底した戦術理解を進めた。新しい選手が多く入ったとしても、日々の練習とミーティングにより全員が同じ目標も持ち、同じ絵を見て、自分がなにをするべきなのかわかる集団になった。それが形となったのが昨シーズンの7位という戦績である。
しかし、この結果に満足するものはいなかった。なぜならさらに上位に進出できる手ごたえを全員が感じていたからだ。そう思うのは、接戦の上、勝利を掴む直前で惜しくも負けてしまった試合があるからだ。その代表となる試合が昨シーズンの開幕戦、パナソニックワイルドナイツとの一戦だ。
(参考「2018-19シーズン トップリーグ 第1節試合結果レポート」http://www.kubota-spears.com/calendar/official/2018/0831/1930_00.html)
このゲームは前半リードされるものの、後半はPGでコツコツと追いつき、トライ1本で逆転の点差にまで追いついた。ノーサイド直前にはゴール前からのバックスも入るモールでインゴール直前までボールを運びながらも相手の粘り強いディフィンスにより逃げ切られて敗戦となった。この大阪での夏の終わりの熱戦は、チームに上位進出の手ごたえをつかませるものではあったが、のちのちの順位に響くものとなった。
今回も同じように最後までもつれる展開になる可能性は大きい。
トライを瞬時にとってしまう相手に対して、いかに自分たちのテンポでラグビーができるかが重要になってくる。それも80分通して。
そのためにクボタスピアーズは準備を重ねてきた。
大きく強いフォワード陣は8人の合計体重が900㎏を越えているにもかかわらず機動力もあり、良く動く。また、ディフィンスでのターンオーバーを狙えるタックルとジャッカルが得意な選手が多いので、ディフィンスからの得点も期待できるだろう。なによりフォワードの最も重要な仕事の一つであるセットプレー(スクラム・ラインアウト・キックオフ)は、過去最強といってもいい。
↑昨シーズンの開幕戦でラインアウトからボールを獲得するボタ選手
バックス陣には経験豊富な選手がいる。パス・キック・突破と適格な状況判断でゲームをコントロールし、テンポを作ってくれるはずだ。フォワードがコツコツと密集戦を攻めた後やターンオーバー時のスピーディーな展開にも期待したい。11番、14番にはプレシーズンでも活躍した白井・岩佐を両翼に配置、最後尾には昨シーズンよりチームに加入したゲラードを配置し、キッキングゲームにおいてもいい仕事をしてくるだろう。
↑1月3日のサントリーサンゴリアスとの練習試合では後半から出場のゲラード選手
密集を見ても、ワイドに見ても、どんな見方をしてもハイレベルで激しい好ゲームが期待できる。また、両者ディフィンスが持ち味のチームでもあるので、緊張感のあるロースコアゲームになる可能性もある。ノーサイド直前のラスト1プレーまで気が抜けない戦いが予想されるクボタスピアーズvsパナソニックワイルドナイツ戦は熊谷ラグビー場で13時5分キックオフ!!
過去パナソニックワイルドナイツとの戦績(2015年より)
2019年1月19日 21-24●
2018年8月31日 11-15●
2017年8月19日 21-45●
2016年12月4日 25-34●
2015年12月20日 27-30●
注目選手
日本代表同士の対決が楽しみなラピース、2m越えの外国人ロック同士の攻防が注目の南アフリカ両ロックのボタとデーヴィッド、世界№1を手にして戻ってきたフェルミューレン、新規加入のクロッティとフォーリー、ルーキーながらスタメンを獲得した岩佐など注目選手は数多くいるが、この試合を勝利するためには本当の意味でチームが「ONE」になる必要がある。
それにはこの選手が不可欠だ
12番 立川理道
キャプテンとなり4季目となる今シーズンはカップ戦やプレシーズンでのパフォーマンスを見ても充実の仕上がりだ。世界のトップレベルの選手がしのぎを削るトップリーグにおいても、プレーでチームを引っ張ることができる日本人選手として希少な存在といえる。攻撃においては、ポジショニング~パスのもらい方~パス~フォローまですべてが高レベル。ジュニア世代のラグビープレーヤーはぜひお手本にしてほしい。また、ずば抜けた強さというよりもボディコントロールを武器にゲインを切る(前進する)ボールキャリーは、日本人でも大きな相手に対して接点で通用することを教えてくれる。
守備においては、状況に応じたタックルを使いわけ、ジャッカルもできる。なによりその無尽蔵の体力はここぞというときのピンチでチームを助けてくれるだろう。
ハドル(円陣)の中はもちろん、プレー中のコミュニケーション能力にも優れ、チーム内やレフリー間のやり取りを的確に素早く伝達する。杉本、ボタ、ラピース、フェルミューレン、クロッティ、フォーリーといったリーダーシップに優れた選手が多いクボタスピアーズのなかでも彼の信頼は厚い。またそういった選手たちに「任せるところは任せる」といったチームをまとめる上でのバランス感覚にも優れている。
キャプテンとしても、いちラグビー選手としても立川理道のプレーに注目だ。
教えてスピアーズ!
ラグビーを良く知る人も、これからラグビーを知りたい人も、ラグビーの様々な疑問に答える「教えてスピアーズ!」
今回のテーマは・・・
「ラグビー選手ってなんであんなテーピングしてるの?」
ラグビーは接点の激しいスポーツだから怪我はつきもの。
それはわかるけどそれにしたってテーピングの量多くない!?
というわけでラグビー選手が行うテーピング活用術を教えます。
テーピング活用術① ジャンパーテープ
写真のジャンパー(ラインアウトでジャンプする人)を支えるリフター(ジャンパーを持ち上げる人)の手の位置に注目!!ジャンパーの太もも部分のテーピングが巻かれているところを持っていますね。ここにテーピングを巻くと滑らずに持ちやすいんです。太ももにテープを巻いている人はジャンパーと覚えると分かりやすいですね。
(同じフォワードでもフッカーとプロップはまず巻きません。)
テーピング活用術②耳が痛いから!
写真のデーヴィッド選手のおでこにはテーピングが。
これはおでこが痛いわけではなくて、耳の上部を巻いて固定してます。
コンタクトで相手との接触やスクラムやモールで頭を密集に入れると耳が当たって腫れてしまいます。それを少しでも予防するために頭にテープを巻きます。
テーピング活用術③ 手の滑り止め
写真の白井選手の指先はテーピングだらけ。突き指のテーピングの可能性もありますが、バックスの選手などは指先にテープを巻いて滑り止めとして使用します!!特に汗で滑る夏場などはよく見かけます。
また多くの選手が手首にテープを巻きます。こうすることで力が入ったり、選手によってはメッセージ書いたりして、試合のルーティーンのひとつとして活用します。
また、スパイクに巻いたりして足首を固定したり、靴紐がほどけるのを防止したりする活用方法もあります。
今後のラグビー観戦ではお気に入りの選手がどんなテーピングをしているかも注目ですね!
以上、パナソニックワイルドナイツ戦のマッチプレビューでした。
クボタスピアーズへの多くのご声援お待ちしております
文:クボタスピアーズ広報担当:岩爪航
写真:チームカメラマン 福島宏治